【補足】6 つの係数の導出③:資本回収係数と年金原価係数

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この記事は「【補足】資金計画に関する 6 つの係数の導出」の連載です。直リンクでここに来た方向けに、以下の記事に概要が記されています:)

 二つ前の記事で終価係数 \( k_1 \) と原価係数 \( k_2 \) の一般式を、一つ前の記事で年金終価係数 \( k_3 \) と減債基金係数 \( k_4 \) の一般式を導出したのと同様に、最後に資本回収係数と年金原価係数の一般式を導出します。さらに、ななみんの本に載っている表の数値が正しいことも確認します。

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資本回収係数

 資本回収係数 \( k_5 \) とは、初めにあった \( M \) 円を \( n \) 年間かけて取り崩す状況において、毎年の受取額 \( x \) を求め る際に用いられる係数のことであり、\( M k_5 = x \) によって定義される量です:

\[ k_5 = \frac{x}{M} \,\, . \]

日本語で書けば次の通りです:

\[ \text{資本回収係数} = \frac{\text{毎年の受領額}}{\text{初めにあった金額}} \,\, . \]

積立開始後の残高の変遷は下の図のようになります:

図:資本回収係数の説明。\( n \) 年間の積み立て運用を行なった場合の残高の変遷。

 さて、\( k \) 年目開始時の残高を \( w_k \) とすると、\( n \) 年間が経った後に取り崩しが終了して残高が 0 になる条件 は、上の図を見て \( w_{n+1} = 0 \) と書けます。この条件が資本回収係数 \( k_5 \) の値を決めるので、まずは \( w_k \) を求めるために、下の図を見て漸化式を立てると

\[ w_{k+1} = w_k + r w_k −x = (1+r) w_k −x \]

です。

図:資本回収係数を考える際の残高の変遷。

上の漸化式を初期条件:\( w_1 = M \) の下で解くと

\[ w_k = \frac{ (1+r)^{k-1} r M – [ (1+r)^{k-1} – 1 ] x }{r} \]

を得ます。上で述べたように「\( n \) 年間の取り崩しの末に残高が 0 になる」という条件 \( w_{n+1} = 0 \):

\[ w_{n+1} = \frac{ (1+r)^{n} r M – [ (1+r)^{n} – 1 ] x }{r} = 0 \]

\[ (1+r)^{n} r M = [ (1+r)^{n} – 1 ] x \]

となります。これより、資本回収係数 \( k_5 \) が

\[ k_5 = \frac{x}{M} = \frac{ (1+r)^{n} r }{(1+r)^{n} – 1} \]

と求まります。

 これまでと同様に運用年数を \( n=5 \) 年に固定して、年利 \( r \) に対する資本回収係数 \( k_5 \) の挙動は下の図の通りです:

図:運用年数を \( n = 5 \) 年に固定したときの、年利 \( r \) に対する資本回収係数 \( k_5 \) の挙動。

 特に年利 \( r = 1 \% – 5 \% \) に対応する \( k_5 \) の値は次の表のようになります:

表:上のグラフの年利 \( r = 1 \% – 5 \% \) とそれぞれに対応する資本回収係数 \( k_5 \) のペア。

 これらの数値はななみんの本に与えられている表の「資本回収係数」の行の 5 つの値を正しく再現しています。以上で「資本回収係数の一般式を導出すること」と「ななみんの本に与えられた資本回収係数の値が正しいことの確認」ができました

年金原価係数

 これまでと同様に、上の資本回収係数の逆の概念が年金現価係数です。つまり、年金現価係数 \( k_6 \) とは、\( n \) 年間にわたって毎年 \( x \) 円の取り崩しを行なう場合、初めに用意されるべき金額 \( M \) を求める際に用いられる係数のことであり、\( x k_6 = M \) によって定義される量のことです:

\[ k_6 = \frac{M}{x} \,\, . \]

日本語で書くと

\[ \text{年金現価係数} = \frac{\text{初めに用意されるべき金額}}{\text{毎年欲しい金額}} \,\, . \]

したがって \( k_6 \) は \( k_5 \) の逆数で与えられるので、年金現価係数の一般的表式は

\[ k_6 = \frac{M}{x} = \frac{ (1+r)^{n} – 1 }{(1+r)^{n} r} \,\, \left( = \frac{1}{k_5} \right) \]

となります。

 これまでと同様に運用期間を \( n = 5 \) 年に固定して、年利 \( r \) に対する年金現価係数 \( k_6 \) を表示すると下の図のようになります:

図:運用年数を \( n = 5 \) 年に固定したときの、年利 \( r \) に対する年金現価係数係数 \( k_6 \) の挙動。

 特に年利 \( r = 1 \% – 5 \% \) に対応する \( k_6 \) の値は次の表のようになります:

表:上のグラフの年利 \( r = 1 \% – 5 \% \) とそれぞれに対応する年金原価係数 \( k_6 \) のペア。

 これらの数値はななみんの本に与えられている表の「年金原価係数」の行の 5 つの値を正しく再現しています。以上で「年金原価係数の一般式を導出すること」と「ななみんの本に与えられた年金原価係数の値が正しいことの確認」ができました!

まとめ!

 資本回収係数 \( k_5 \) および年金原価係数 \( k_6 \) の一般式を導出し、ななみんの本に与えられている表のうち、これらに対応する数値が正しいことを確認しました。

 お疲れさまでした。これまでに導出した 6 つの係数の一般式をまとめ、さらに係数間に成り立つ関係式、およびオマケとして少々のグラフを載せた次の記事がこの連載の最後の記事になります:

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