【補足】6 つの係数の簡便な計算法(その④:まとめ!)

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 前回の記事で「資金計画における 6 つの係数」の近似式を導出したので、このシリーズの最後に、最終結果までの過程を全て取り払ってすぐに使える結果だけをまとめておくチュウ!また、ついでとして、元の厳密な式と近似式がどれくらい違っているかも視覚的に見てみるチュウ!

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6 つの係数の近似式:公式

  1. 終価係数

\begin{align}
k_1 &= (1+r)^n \\
k_1 &\simeq 1 + nr \\
k_1 &\simeq 1 + nr + \frac{n(n-1)}{2} r^2
\end{align}

  1. 原価係数

\begin{align}
k_2 &= \frac{1}{(1+r)^n} \\
k_2 &\simeq 1 – nr \\
k_2 &\simeq 1 – nr + \frac{n(n+1)}{2} r^2
\end{align}

  1. 年金終価係数

\begin{align}
k_3 &= \frac{(1+r)^n-1}{r} \\
k_3 &\simeq n + \frac{n(n-1)}{2} r \\
k_3 &\simeq n + \frac{n(n-1)}{2} r + \frac{n(n-1)(n-2)}{6} r^2
\end{align}

  1. 減債基金係数

\begin{align}
k_4 &= \frac{r}{(1+r)^n-1} \\
k_4 &\simeq \frac{1}{n} + \frac{n-1}{2n} r \\
k_4 &\simeq \frac{1}{n} + \frac{n-1}{2n} r + \frac{n^2-1}{12n} r^2
\end{align}

  1. 資本回収係数

\begin{align}
k_5 &= \frac{(1+r)^n r}{(1+r)^n-1} \\
k_5 &\simeq \frac{1}{n} + \frac{n+1}{2n} r \\
k_5 &\simeq \frac{1}{n} + \frac{n+1}{2n} r + \frac{n^2-1}{12n} r^2
\end{align}

  1. 年金原価係数

\begin{align}
k_6 &= \frac{(1+r)^n-1}{(1+r)^n r} \\
k_6 &\simeq n – \frac{n(n+1)}{2} r \\
k_6 &\simeq n – \frac{n(n+1)}{2} r + \frac{n(n+1)(n+2)}{6} r^2
\end{align}

6 つの係数の近似式:使い方

 上で得た式に利率 \( r \) と運用年数 \( n \) を代入するだけ。1 次近似(それぞれの項目内で上側に書いてあるやつ)よりも、2 次近似(下側)の方が精度が高いが、だいたいの桁数だけ合っていればよいような場合などは計算がより簡単な 1 次近似の公式を使ってもよいだろう。試しに、手元にある本に載っている 6 つの係数のどれかを適当に選んで、対応する \( r \) と \( n \) を代入してみよ。実際に本に載っている結果とそう遠くない数値が得られるはずである。

6 つの係数の近似式:精度の確認

 計算が簡単になる近似式が得られたと言っても、実際に十分な精度を持っていなければ実用には使えない。そこで最後に、実際に上にまとめた近似式が(特に小さい \( r \) に対して)よい精度を保っていることを、適当な場合について確認しておく。ここでは、具体的に利率 \( r = 1 \% – 5 \% \)、運用年数 \( n = 5 \) 年とする。

 まずは終価係数 \( k_1 = f_1 (r) \) について見てみると、下図のようになった。元々の厳密な式の値が青い点、1 次近似の値が黄色の点、2 次近似の点が黄緑の点である。まず青い点がどこにあるのか分かりにくいが、これは黄緑の点とほぼ重なっているためである。すなわち、2 次近似の値は厳密な値とほとんど一致している。また、1 次近似を表す黄色の点は、青や黄緑の点に比べて、\( r \) が小さい左側ではよく一致しているが、\( r \) が大きくなっていく(右側にいく)につれてずれており、この右側の範囲では 1 次近似では精度が不十分である可能性を示唆している。

終価係数について、厳密な式、1 次近似、2 次近似間の比較。

 次に原価係数 \( k_2 = f_2 (r) \) を見てみると、下図のようになった。点の色分けは上と全く同じである。やはり青い点(厳密な値)と黄緑の点(2 次近似から出る値)はほぼ重なっている。また、1 次近似を表す黄色の点は、\( r \) が大きくなっていくにつれてずれており、この右側の範囲では 1 次近似では精度が不足する可能性を示唆していることも同様である。

原価係数について、厳密な式、1 次近似、2 次近似間の比較。

 その他の係数についても同様の比較結果が出た。すなわち、2 次近似まで取れば少なくとも利率 \( r = 1 \% – 5 \% \)、運用年数 \( n = 5 \) 年のケースに関しては申し分のない精度を保ちつつ計算を簡略化することができるのである。利率 \( r \) が大きくなっていくと 1 次近似だけでなく 2 次近似までもが破綻するので、3 次、4 次、・・・を追加して精度を保つことはできるが、やはり厳密な式に戻って関数電卓などで正確な値を計算するのがよいであろう。また、運用年数はここでは \( n = 5 \) 年の場合だけを調べたので、\( n \) が大きい長期運用の場合にも 2 次近似で十分かどうかは分からないことに注意せよ。しかしながら「自分が計算したい利率 \( r \) と運用年数 \( n \) が何であれ、精度を保ちながら簡単な計算で 6 つ全ての係数を算出できる公式が存在する」という事実は注目に値する。以上にまとめた公式は、FP を受動的に勉強する段階から、自分自身で、あるいは職業 FP として資産計画を実際に組む段階になったときに、真の価値を発揮するであろう。

まとめ!

 「資金計画における 6 つの係数」について、ややこしい導出の詳細の一切を省いて結果だけをまとめたチュウ!手元の FP の本の数値を見ながら、対応する利率 \( r \) や運用年数 \( n \) の値を上の式に代入してみて、実際に本に載っている数値をかなり良い精度で再現することを確かめてみてほしいチュウ!一連の記事で得た近似式は確かに「簡単な計算で」「(常識的な範囲において)どんな利率 \( r \) や運用年数 \( n \) に対しても」「十分な精度を保ちつつ」各係数の近似値を出せるけれども、決して万能なものではなく状況に応じて使えない場合もあることは忘れないでほしいチュウ!

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