【補足】6 つの係数の簡便な計算法(その③:導出)

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 こんばんはっチュウ!これまでの記事で準備が整ったので、いよいよ「資金計画における 6 つの係数」の近似式を導出するチュウ!中ピカの趣味、言い方を選ばないと自己満足の記事がいくつか続いて誰も見ていないのもこの記事で終わりチュウ!それではいくチュウ!

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はじめに:何をやりたいか

 「資金計画における 6 つの係数」すなわち、終価係数&原価係数年金終価係数&減債基金係数資本回収係数&年金原価係数の簡便な近似式を導出したい。ここで近似式とは、元々の厳密な表式だと計算が複雑だったり面倒だったりする場合があるので、もっと簡単に計算できて、なおかつ十分な精度を保つような式のことを指す。

 近似式を導出するにあたって、テイラー展開と呼ばれる数学の道具を使う。これについては以前の記事で説明した通りなので、興味があれば参照してほしい。数学に関する補足記事と同様に、FP の立場からは先人が構築した数学の理論は「道具」に過ぎないので、あまり厳密な議論はしない。数学と聞くと難しそうに思われるかもしれないが、実際に中ピカ自身もよく理解しているわけではないし、身の回りにたまたまあった道具を使って FP をより便利なものにしよう、という発想を実行しているに過ぎない。FP から横道に逸れて数学という道具を取り入れてみると、FP における計算をより便利なものにする公式がポロっと出てくるのである。特に今回取り扱う公式が、繰り返しになるが「資金計画における 6 つの係数」の簡便版とも言うべき近似式というわけである。

 以下でやるのはすべで、テイラー展開における対応するそれぞれの係数(難しく呼べば微分係数)を計算することで、各係数の近似式を得るという単純な作業である。道具というのはとりあえずは使えればよいので、こういうややこしい導出は中ピカにやらせておいて、数学に興味のない読者は結果だけをおいしく使ってみるのがよいであろう。

復習:近似式の一般論

 既に扱ったテイラー展開の復習を簡単にやっておく。関数 \( f (r) \) の近似式は、\( r \) が十分小さい:\( r \ll 1 \) とき、\( r \) の 2 次まで取れば

\[ f (r) \simeq f^{(0)} (0) + f^{(1)} (0) r \]

と書かれ、もう少し精度を高めて \( r \) の 2 次まで取れば

\[ f (r) \simeq f^{(0)} (0) + f^{(1)} (0) r + \frac{f^{(2)} (0)}{2!} r^2 \]

となる。日本語で説明すると、元の関数 \( f (r) \) の \( r = 0 \) での値 \( f^{(0)} (0) \) と、\( f (r) \) を 1 回微分した関数 \( f^{(1)} (r) \) で \( r = 0 \) としたもの \( f^{(1)} (0) \) を計算しさえすれば上の 1 次近似が出る。\( f (r) \) を 2 回微分した関数 \( f^{(2)} (r) \) で \( r = 0 \) としたものも用意しておけば、下の 2 次近似が得られるという具合である。

各係数の近似式の導出

 以下「資金計画における 6 つの係数」のそれぞれについて、順番に見ていく。

  1. 終価係数

\[ f_1 (r) = (1+r)^n \]

について

\begin{align}
f^{(0)}_1 (0) &= 1 \\
f^{(1)}_1 (0) &= n \\
f^{(2)}_1 (0) &= n (n-1)
\end{align}

なので、\( r \) の 1 次近似、2 次近似それぞれで

\begin{align}
f_1 (r) &\simeq 1 + nr \\
f_1 (r) &\simeq 1 + nr + \frac{n(n-1)}{2} r^2
\end{align}

  1. 原価係数

\[ f_2 (r) = \frac{1}{(1+r)^n} \]

について

\begin{align}
f^{(0)}_2 (0) &= 1 \\
f^{(1)}_2 (0) &= – n \\
f^{(2)}_2 (0) &= n (n+1)
\end{align}

なので、\( r \) の 1 次近似、2 次近似それぞれで

\begin{align}
f_2 (r) &\simeq 1 – nr \\
f_2 (r) &\simeq 1 – nr + \frac{n(n+1)}{2} r^2
\end{align}

  1. 年金終価係数

\[ f_3 (r) = \frac{ (1+r)^n – 1 }{r} \]

について(真面目に計算しようと思うとここからロピタルの定理が必要になる)

\begin{align}
f^{(0)}_3 (0) &= n \\
f^{(1)}_3 (0) &= \frac{n(n-1)}{2} \\
f^{(2)}_3 (0) &= \frac{n(n-1)(n-2)}{3}
\end{align}

なので、\( r \) の 1 次近似、2 次近似それぞれで

\begin{align}
f_3 (r) &\simeq n + \frac{n(n-1)}{2} r \\
f_3 (r) &\simeq n + \frac{n(n-1)}{2} r + \frac{n(n-1)(n-2)}{6} r^2
\end{align}

  1. 減債基金係数

\[ f_4 (r) = \frac{r}{(1+r)^n-1} \]

について

\begin{align}
f^{(0)}_4 (0) &= \frac{1}{n} \\
f^{(1)}_4 (0) &= \frac{n-1}{2n} \\
f^{(2)}_4 (0) &= \frac{n^2-1}{6n}
\end{align}

なので、\( r \) の 1 次近似、2 次近似それぞれで

\begin{align}
f_4 (r) &\simeq \frac{1}{n} + \frac{n-1}{2n} r \\
f_4 (r) &\simeq \frac{1}{n} + \frac{n-1}{2n} r + \frac{n^2-1}{12n} r^2
\end{align}

  1. 資本回収係数

\[ f_5 (r) = \frac{(1+r)^n r}{(1+r)^n-1} \]

について

\begin{align}
f^{(0)}_5 (0) &= \frac{1}{n} \\
f^{(1)}_5 (0) &= \frac{n+1}{2n} \\
f^{(2)}_5 (0) &= \frac{n^2-1}{6n}
\end{align}

なので、\( r \) の 1 次近似、2 次近似それぞれで

\begin{align}
f_5 (r) &\simeq \frac{1}{n} + \frac{n+1}{2n} r \\
f_5 (r) &\simeq \frac{1}{n} + \frac{n+1}{2n} r + \frac{n^2-1}{12n} r^2
\end{align}

  1. 年金原価係数

\[ f_6 (r) = \frac{ (1+r)^n – 1 }{(1+r)^n r} \]

について

\begin{align}
f^{(0)}_6 (0) &= n \\
f^{(1)}_6 (0) &= – \frac{n(n+1)}{2} \\
f^{(2)}_6 (0) &= \frac{n(n+1)(n+2)}{3}
\end{align}

なので、\( r \) の 1 次近似、2 次近似それぞれで

\begin{align}
f_6 (r) &\simeq n – \frac{n(n+1)}{2} r \\
f_6 (r) &\simeq n – \frac{n(n+1)}{2} r + \frac{n(n+1)(n+2)}{6} r^2
\end{align}

まとめ!

 それぞれの係数について、近似式の中にある係数を計算して 1 次近似の式と 2 次近似の式を導出したチュウ!次回の記事では導出部分を取り払って、参照の便を図って結果だけをまとめるチュウ!さらに、元の厳密な式と 1 次近似、2 次近似の精度についても見てみるチュウ!

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