【補足】数学的準備②:テイラー展開(2 次)

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 最近暑くなってきて最高チュウ!今日は前回の補足記事に続いて「資金計画における 6 つの係数」の近似式の精度を上げることを考えるチュウ!内容的には前回の記事の延長でしかなく、新しい数学を導入する記事ではないチュウ!前回の内容を復習したい読者は下のリンクから軽く読み直してくるチュウ!

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1 次までのテイラー展開(復習)

 前回の記事では複雑な数式から簡便な近似式を得るテイラー展開を導入した。適当な関数 \( f (x) \) があったときに、それを \( x \) のべきに展開する次の式から出発したのだった:

\begin{align}
f (x)
&= \sum_{n=0}^{\infty} \frac{ f^{(n)} (0) }{n!} x^n \\
&= f^{(0)} (0) + f^{(1)} (0) x + \frac{f^{(2)} (0)}{2!} x^2 + \cdots \ .
\end{align}

これを \( x \) の 1 次まで取ると(逆に言えば、\( x \) の二次以上の項 \( x^2, x^3, x^4, \dots \) は十分小さいと思って切り落とすと)

\[ f (x) \simeq f^{(0)} (0) + f^{(1)} (0) x \]

と近似されるのだった。この結果、例えば終価係数 \( k_1 \) については

\[ k_1 = (1+r)^n \]

という厳密であるが、しかし指数が入っていて簡単には計算できない式から

\[ k_1 \simeq 1 + nr \]

という、簡単な足し算と掛け算で計算できる近似式が得られるのだった。

2 次のテイラー展開

 \( x \) が十分小さければ \( x \) の 2 次以上の項は切り落としてもよいが、\( x \) が大きくなってくると 1 次までの近似では精度が悪い場合がある。\( x \) はこの一連の記事では利率 \( r \) に対応しており、たとえば \( r \) が 3% などの場合である(1% の場合だとまあまあよい精度であることは前回の記事で見た)。

 そこで 2 次のテイラー展開、つまり \( x^2 \) の項までを取り、\( x^3, x^4, x^5 \dots \) の項を切り落とすことを考える:

\[ f (x) \simeq f^{(0)} (0) + f^{(1)} (0) x + \frac{f^{(2)} (0)}{2!} x^2 \ . \]

以下で、再び終価係数を例としてこの 2 次までのテイラー展開の FP における適用を見てみることにする。

2 次のテイラー展開:例

 前回の記事と同様に、終価係数 \( k_1 = (1+r)^n \) を \( f (r) \) と見て

\[f (r) = (1+r)^n \]

とする。1 次までのテイラー展開は前回記事で見たが、それを思い出すと

\begin{align}
f^{(0)} (0) &= f (0) = 1 \ , \\
f^{(1)} (0) &= n
\end{align}

と計算できるので、終価係数の利率 \( r \) に関する 1 次近似は

\[ k_1 \simeq 1 + nr \]

で与えられるのだった。これに加えて

\[ f^{(2)} (r) = \frac{\partial^2}{\partial r^2} \left[ (1+r)^n \right] = n(n-1) (1+r)^{n-2} \]

に \( r = 0 \) を代入すると

\[ f^{(2)} (0) = n (n-1) \]

なので、終価係数の利率 \( r \) に関する 2 次近似を次のように求めることができる:

\[ k_1 \simeq 1 + nr + \frac{n(n-1)}{2} r^2 \ . \]

厳密式と近似式の比較①

 前回の記事と同様に、今回は 2 次までの近似式も合わせて比較すると、次の通りである。

\begin{align}
k_1 &= (1+r)^n \\
k_1 &\simeq 1 + nr \\
k_1 &\simeq 1 + nr + \frac{n(n-1)}{2} r^2
\end{align}

 厳密式では指数(\( n \) 乗)が入っているので計算が多少面倒であるが、下の近似式では簡単な掛け算と足し算のみで大まかな値を見積もることができる。また、真ん中の 1 次近似の式に比べて、最下段の 2 次近似には補正項 \( n (n-1) / 2 \) が付いているため、この分だけ精度がよくなっている

厳密式と近似式の比較②

 やはり前回の記事と同様に、具体的な数値を使って厳密式と 1 次近似、2 次近似の精度を比べてみる。まず、前回と同じ「年利 \( r = 1 \)% で運用年数 \( n = 25 \) 年」の場合には

\begin{align}
k_1 &= (1+r)^n = 1.28 \\
k_1 &\simeq 1 + nr = 1.25 \\
k_1 &\simeq 1 + nr + \frac{n(n-1)}{2} r^2 = 1.28
\end{align}

となり、2 次近似まで取れば厳密式と同じ数値を与える精度が得られたことが分かる。

 では次に、もう少し高めの利率 \( r \) について調べてみる。たとえば「年利 \( r = 3 \)% で運用年数 \( n = 25 \) 年」の場合を考えてみると

\begin{align}
k_1 &= (1+r)^n = 2.09 \\
k_1 &\simeq 1 + nr = 1.75 \\
k_1 &\simeq 1 + nr + \frac{n(n-1)}{2} r^2 = 2.02
\end{align}

となって、真ん中の 1 次近似ではかなり精度が落ちているものの、最下段の 2 次近似では小数第 1 位まで精度を保っていることが分かる。

2 次近似でも精度が悪い場合はどうするか

 利率 \( r \) が大きい場合は現実ではそうそう無いと思うが、まあそういう良い話があった場合に、できるだけ簡単に、できるだけ正確に計算したいのであれば、テイラー展開の次数を 3 次、4 次、・・・と上げていけば原理的には精度を上げていくことができる。関数電卓を持っているのであれば、以上のテイラー展開の話はすべて忘れて最初から厳密な式を使えばよい。

まとめ!

 1 次までのテイラー展開を扱った前回の記事に続いて、2 次までのテイラー展開を考え、実例を通して精度が上がっていることを確認したチュウ!終価係数は「資金計画における 6 つの係数」の中で最も簡単な形をしているので、あまりテイラー展開のご利益を感じなかったかもしれないが、次回の記事で扱うその他 5 つの係数には指数(\( n \) 乗)だけでなく分数も入っているため、テイラー近似がかなり有用なものになってくるチュウ!

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